感じのいい人が「すみません」の代わりに使う「5文字の言葉」とは?
東 香名子: ウェブメディアコンサルタント・鉄道コラムニスト
2026年7月26日 6:00 会員限定
感じのいい人が「すみません」の代わりに使う「5文字の言葉」とは?
ウェブメディアコンサルタントの東香名子さん
「すみません」は、日本人にとってとても使い勝手のいいクッション言葉だが、連発してしまうと、自分に非があるような印象を与えたり、自信のない卑屈な人に見えてしまうことがある。長年にわたり言葉遣いを研究してきた東香名子さんに、感じのいい人が「すみません」の代わりに使っている最強のフレーズを教えてもらった。(ウェブメディアコンサルタント 東 香名子)
「すみません」を連発すると
自分に非がある印象に
「すみません」は、日本人にとってとても使い勝手のいいクッション言葉です。謝罪だけでなく、呼びかけ、感謝など、あらゆる場面で使える万能フレーズだと言えます。
しかし、この「すみません」を連発してしまうと、自分の意図しないところでネガティブに捉えられてしまうことがあります。たとえば、自分に非があるような印象を与えたり、自信のない卑屈な人に見えてしまったりするなどです。
一方で、感じのいい人は「すみません」を連発することなく、場面に応じて違う表現に言い換えています。
私は、人々の心に響く「バズる言葉」について日々研究をしています。感じのいい人は「すみません」を多用せず、伝えるべき言葉をきちんと伝えることで、相手からの信頼を勝ち取っています。今回は、「すみません」の言い換えやちょい足しフレーズをご紹介します。
意識的に「敬意」や「感謝」を
伝える言葉に変換する
そもそも、なぜ私たちは「すみません」を多用してしまうのでしょうか。背景には、単なる謝罪を超えた、日本独特の社会的・文化的な価値観が深く関わっていると考えます。
日本社会には、他者との調和を重んじる文化が根付いています。そのため「相手に迷惑をかけていないか」を敏感に察知する傾向があります。「すみません」の一言には「あなたに迷惑をかけたくない」という配慮のメッセージが込められています。
また、道を尋ねたり店員を呼んだりする際、いきなり本題に入るのは唐突だと感じますよね。「おい」だと不躾(ぶしつけ)な感じがするし、「あの……」だと挙動不審な感じがします。その代わり「すみません」は礼儀正しく聞こえて、相手をリスペクトしつつ会話をスムーズに進めることができます。
このように「すみません」は、相手への敬意が凝縮された日本人らしいクッション言葉です。もちろん「使ってはいけない言葉」ではありません。しかしビジネスの現場などでは、意識的に「敬意」や「感謝」を伝える言葉へ変換していくことが、良好な人間関係を築くカギになります。
では感じのいい人は、「すみません」の代わりに何と言っているのか。いくつかのシチュエーションを具体的に見ていきましょう。
謝るときは
表現を工夫する
約束に遅れてしまったら、つい「すみません、遅れました」と言ってしまいがちです。このとき、感じのいい人は「お待ちいただき、ありがとうございます」をさらっと加えています。自分のミスを謝るだけでなく、待っていてくれた相手の寛大さを立てることで、場の空気が前向きに変わります。
忙しそうな人に声をかける時の呼びかけにもひと工夫を。「すみません、今いいですか?」と割り込むのではなく、「お忙しいところ恐れ入ります。今少しだけお時間よろしいでしょうか?」と切り出してみましょう。「恐れ入ります」の一言が、相手への敬意をストレートに伝えてくれます。
集中している人に声をかけるときの「邪魔してすみません」も、「お仕事中失礼します。確認したいことがありお声がけしました」と言ってみましょう。「失礼します」というワードに置き換えるだけで、自分を卑下せずに、プロフェッショナルな距離感を保った一言になります。
道を通るときなども、感じのいい人は「すみません」を安易に使用せず、「失礼します」と言って通ります。より丁寧で相手を敬っている印象ですね。たとえ知らない人であっても、「感じのいい人だな」と思われ、空間の共有がぐっとスムーズになるでしょう。
誘いを断るときの「すみません」はどう言えばいいでしょうか。「今回はちょっと……」と曖昧(あいまい)に濁す人が多いのではないでしょうか。しかし、感じのいい人は「お誘いいただきうれしいのですが、今回は見送らせてください」と伝えています。
ポイントは「うれしい」という気持ちを先に伝えてから、はっきりと意思を添えることです。感謝と意思がセットになることで、角を立てずに自分のスタイルを貫くことができます。「自分をしっかり持っている人だな」と相手は好印象を抱くはずです。
「ありがとう」で
はっきりと感謝を伝える
感謝を伝えるつもりで「すみません」を使っている人は多いものです。「ありがとう」だけでは少し軽いと感じる、また「手間をかけてしまった」という申し訳ない気持ちから、「すみません」と言うケースです。もちろん、この場合の「すみません」は謝罪ではなく、ポジティブな感謝の形です。
しかし、感じのいい人が感謝する時は「ありがとう」とはっきりと伝えています。どちらもたった5文字の言葉ですが、相手からの印象が格段に違います。
「ありがとう」ではなく「すみません」と言われると、「気を遣わせてしまったかな」と相手にモヤモヤが残ります。「ありがとう、と言ってくれたらすっきりするのに」と思うかもしれません。「ありがとう」と言われると、相手も充実感を得られるのです。
例えば、同僚に資料作成を手伝ってもらったときは「手伝わせてすみません」ではなく、「サポートしてくれて本当にありがとう!」というフレーズに変換を。相手も「助けてよかった」というスッキリとした誇りを感じるはずです。
贈り物をもらったときも同様です。「こんなに頂いてすみません」と過度に恐縮してしまうと、相手の温かい気持ちを拒絶しているようにも見えます。ここは素直に「ありがとうございます。お心遣い、本当にうれしいです」と、素直な気持ちをストレートに言いましょう。笑顔で感謝を伝えることこそが、相手にとって一番の「お返し」になります。
細かな気遣いに対する「気を遣わせてすみません」も、「お気遣いいただき、感謝いたします」にしましょう。「感謝いたします」という言葉が、相手の温かさをしっかり受け止める姿勢を示してくれます。
「相手にどんな気持ちになってほしいか」
という視点を大事にする
感じのいい人は、言葉を選ぶときに「相手にどういう気持ちになってほしいか」という視点を大事にしています。些細(ささい)な表現であっても、ポジティブな言い換えを積み重ねることで、相手を大切にしたいというメッセージが伝わります。
まずは今日から、会話の端々で飛び出す「すみません」を、前向きな一言に置き換えてみましょう。その小さな変化が、あなたの人間関係をより豊かで心地よいものにしてくれるはずです。
